花火を撮る

NDフィルターとは

種類 | ND4(0.6) | ND8(0.9) | ND16(1.2) |
---|---|---|---|
光量 | 1/4 | 1/8 | 1/16 |
絞り段数(EV数) | 2段(-2EV) | 3段(-3EV) | 4段(-4EV) |
透過率 | 25% | 12.5% | 6.25% |
NDフィルターの中にはND0.3、ND0.6、ND0.9のように、10のべき乗指数で濃度を示す製品があります。
>> NDフィルターの0.3、0.6、0.9とはどういう意味ですか。 | ナックイメージテクノロジー
NDフィルターの主な利用用途としては以下のようなものが挙げられます。
- 明るい環境でシャッタースピードを落として流れを表現する(滝、清流など)
- 明るい被写体に対して露出オーバーを防ぐ(花火など)
花火写真におけるNDフィルターの役割
花火写真におけるNDフィルターの役割は大きく以下の2点となります。- 露出オーバー対策
- 回折現象対策

露出オーバー(白飛び)した花火写真の例
- 絞りを絞る
- NDフィルターを併用する
- 1シーンを分割して撮影した上で合成処理を施す
花火撮影に使うNDフィルターの選び方
花火撮影に使うNDフィルターを選ぶにあたってのポイントはざっくり以下の3点となります。- 濃度
- 減光効果のかかり方
- 形状
濃度
NDフィルターの濃度はお使いのカメラのベース感度や花火の大きさなどによって異なってきますが、おおむねND4~16あたりが個人的におすすめです。 もう少し紐解くと、以下の通りとなります。ベース感度 | 小規模(5号以下) | 大規模(7号以上) |
---|---|---|
ISO100 | ND4 | ND8 |
ISO200 | ND8 | ND16 |
- 絞り:F8.0
- シャッタースピード:4~8秒程度
- ISO感度:100

適正露出の例(F8.0、SS5.5秒、ISO100)
花火の大きさ | シャッタースピード(目安) |
---|---|
4号玉 | 約5秒 |
5号玉 | 約10秒 |
8号玉 | 約12秒 |
10号玉(尺玉) | 約15秒 |
20号玉(二尺玉) | 約20秒 |
30号玉(三尺玉) | 約25秒 |
NDフィルター | 絞り(ISO100) | 絞り(ISO200) |
---|---|---|
なし | F13〜14 | F18〜20 |
ND4 | F6.3〜7.1 | F9.0〜10 |
ND8 | F5.0〜5.6 | F6.3〜7.1 |
ND16 | F3.5〜4.0 | F5.0〜5.6 |
上記はあくまでも単打ち花火の場合の話であり、スターマインは単打ちと比べてシャッタースピードがより長くなる傾向にあります。
また、花火そのものの明るさによってはNDフィルターを使用しても白飛びする可能性があります。
NDフィルターの濃度は打ち上がる花火の大きさとカメラのベース感度を踏まえた上で、ND4~16の範囲で選ぶのが個人的におすすめです。
減光効果のかかり方

全面に減光効果がかかるNDフィルター(写真左)とハーフタイプのNDフィルター(写真右)
- 花火のみを撮影する場合:全面タイプ
- 花火+副題を撮影する場合:ハーフタイプ
- 花火の白飛びを抑えられる
- 副題が黒つぶれする可能性がある
- 幅広いシーンで使える
- セッティングが容易
- 比較的安価なねじ込み式が選べる
- 花火の白飛びと副題の黒つぶれを同時かつ効果的に抑制できる
- 利用に適したシーンがやや限定される
- セッティングに慣れが必要
- 基本的に角形一択のため導入費用が高価
形状

円形(ねじ込み式、写真左)と角形(写真右)のNDフィルター
形状 | 全面タイプ | ハーフタイプ |
---|---|---|
円形(ねじ込み式) | ○ | △ |
角形 | ○ | ○ |
リア | ○ | × |
円形タイプにはハーフNDフィルターもありますが、減光する箇所を調整しにくいためあまりオススメしません。
角形フィルターもレンズ前面に取り付けるタイプの製品の一つです。
前述で紹介した円形フィルターに対応したレンズに加え、専用のホルダーを介すことで円形フィルターが取り付けられない一部のレンズにも装着できます。
また、ホルダーに付随するアダプタリングを活用して複数のレンズ径に対応できる取り回しの良さも魅力です。
ハーフNDフィルターを使用する場合も減光効果がかかる位置を調整できる角形フィルターがオススメです。
リアフィルターは先に紹介した円形フィルターや角形フィルターと異なり、レンズマウント側に取り付けるタイプの製品です。
全体に減光効果がかかる製品に限られますが、円形フィルターや角形フィルターが取り付けられない一部の広角レンズでも減光効果が得られるのが魅力となっています。
減光効果のかかり方、レンズやカメラによって求められる形状が変わってきますので、適切な製品を選んでいきましょう。
NDフィルターが装着できないレンズもある
花火写真の白飛び回避に効果的なNDフィルターですが、レンズによっては装着できない場合があります。 特に花火写真の撮影において使用頻度が高い超広角レンズ(魚眼レンズを含む)には物理的にフィルターの取り付けができないものもあります。 NDフィルターを導入するにあたっては、お使いのレンズにフィルター類の装着ができるかどうかあらかじめ確認するようにしましょう。まとめ
花火写真の撮影に使うNDフィルターの選び方をざっくりまとめると以下の通りとなります。濃度 | 打ち上がる花火の大きさとカメラのベースISO感度に応じてND4~16から選択。 |
---|---|
減光効果のかかり方 | 花火が主体もしくは副題が複雑な地形の場合は通常タイプ、副題が比較的単純な地形となっている場合はハーフタイプが推奨。 |
形状 | 円形(ねじ込み式)と角形があり、前者は安価に導入できる反面 |