写真撮影

花火写真の撮影にはどんな三脚がおすすめ?選ぶにあたっての要件は?

おーわ
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花火系散歩屋のおーわ(@mof_mof08)です。

花火写真の撮影は長時間露光が前提となるがゆえ、三脚がマストアイテムとなります。

ひとくちに三脚といっても非常に種類が多く、どんな製品を選べば良いか分からないとお嘆きの方が、僕の他に3名ぐらいいらっしゃるかと思います。

本記事では花火写真の撮影に使うおすすめの三脚について、ざっくりとまとめてみました。

花火写真の撮影におすすめな三脚の要件

花火写真の撮影におすすめな三脚の要件はざっくり以下の通りとなります。

素材 カーボン(アルミでも可)
雲台 3WAY(ボール雲台でも可)
耐荷重 積載する機材重量の2〜3倍程度
パイプ径 積載する機材重量による
段数 3段もしくは4段
全伸高 アイレベル以上
格納高 航空機の手荷物として持ち込む場合は60cm以下

三脚を選びで悩ましいのが安定性と持ち運びやすさはトレードオフになる点です。

一般的に三脚は大きくて重いほど安定性が増す傾向にありますが、移動手段によっては持ち運びに支障が出る可能性があります。

一方で小さくて軽いほど持ち運びやすさは増しますが、搭載する機材に適していなければ撮影時のブレや機材の破損につながる恐れがあります。

画一的な答えを導き出しにくい三脚選びですが、必要な安定性と主たる移動手段を軸に検討していくことで、ご自身にとって最適な三脚が見つけやすくなります。

素材

剛性と持ち運びやすさからカーボンファイバー素材の三脚がおすすめでしょうか。

三脚の素材には主にアルミとカーボンの二種類がありますが、後者を使用する主なメリットとしては以下の通りです。

  • 軽量(アルミ素材と比較して2~3割程度)
  • 振動を吸収しやすい
  • 寒い場所でパイプに触っても冷たくない

デメリットとしてはアルミ素材の三脚と比較して価格が高い傾向にあります。

個人的にはカーボン素材の三脚がおすすめですが、価格が気になる方はアルミ製のものを選んでも特に問題はありません。

雲台

花火写真の撮影の特性から3WAY雲台がおすすめです。

雲台とは三脚にカメラを固定するためのアクセサリーで、以下の種類があります。

  • ボール雲台(自由雲台)
  • 3WAY雲台
  • ギア雲台
  • ビデオ雲台

このうち、写真撮影で主流になってくるのがボール雲台と3WAY雲台の2種類です。

両者の違いをざっくりまとめると以下の通りとなります。

雲台の種類 ボール雲台 3WAY雲台
重量 軽い 重い
水平方向(パン)の調整 自由度が高い 一定方向のみ
垂直方向(チルト)の調整 自由度が高い 一定方向のみ
アルカスイス互換対応製品 ある 非常に少ない

これだけ見ると自由度の高いボール雲台が良さそうに思えますが、花火写真の撮り方講座〜第6章 機材のセッティング手順〜で記しているように、花火写真の撮影におけるセッティングは基本的に水平、垂直、横回転の三軸のみとなります。

そのため、自由雲台よりも3WAY雲台の方が調整が容易だったりします。

しかしながら、3way雲台には以下のような弱点もあります。

  • ボール雲台と比較して重くかさばる
  • アルカスイス互換対応の雲台が非常に少ない

花火写真の撮影では3WAY雲台が扱いやすい傾向にありますが、機材の重量などを加味してボール雲台を選ぶのも良いでしょう。

ボール雲台の中には水平および垂直方向の調整が幾分しやすいフリクション調整機能の付いた製品が存在します。

耐荷重

搭載する機材(カメラ、レンズなど)により大きく変わってきますが、おおよその目安として積載する撮影機材の2~3倍程度を基準に選ぶと良いでしょう。

耐荷重とは三脚が安全に支えられる機材重量の上限のことをいいます。

ところがこの耐荷重は各三脚メーカーで基準がまちまちなため、実際には耐荷重を満たしていてもたわみなどが生じる可能性があります。

次に紹介するパイプ径とセットで検討するのが良いでしょう。

パイプ径

先述の耐荷重と同じく、三脚に搭載する撮影機材によって変わってきます。

パイプ径とは一番上の脚の太さを示したもので、パイプ径が太いほど撮影時の安定性が増す傾向にあります。

撮影機材の構成に対してパイプ径が細いとたわみやぐらつきの原因となってしまい、撮影時にブレなどが生じてしまうこともあります。

目安はざっくり以下の通り。

パイプ径 最適な機材
20mm
  • ミラーレス一眼カメラ(マイクロフォーサーズ程度)
24mm
  • 一眼レフカメラ(APS-C程度)
  • ミラーレス一眼カメラ(APS-C〜フルサイズ程度)
28mm
  • 一眼レフカメラ(フルサイズ+標準レンズ程度)
32mm
  • 一眼レフカメラ(フルサイズ程度+望遠レンズ程度)

パイプ径についてはあまり妥協せず、上表を最低ラインに検討することをおすすめいたします。

段数

安定性と収納性を考慮すると3段もしくは4段がおすすめです。

段数とは脚を引き延ばした際の段数のことで、段数が少ないほど安定性に優れ、多いほど収納性に優れます。

現在発売されている三脚は3段もしくは4段の製品が主流となっていますが、安定性を重視するなら3段、持ち運び重視するなら4段を軸に選ぶのがおすすめでしょうか。

5段以上の三脚もありますが、安定性を考えると4段ぐらいに留めておくのがよろしいかなと思います。

全伸高

撮影スタイルから考えるとアイレベル(カメラのファインダーが目線の高さにくる高さ)以上の製品が理想です。

全伸高は三脚を目いっぱい伸ばしたときの高さのことをいいます。

花火写真の撮影では観覧席の最後方でめいっぱい三脚の高さを上げて撮影する機会が多くありますが、セッティングや微調整のしやすさを考えるとアイレベル程度の高さは欲しいところです。

アイレベルを超える全伸高を持つ三脚であれば観客の頭上や障害物を越えられるメリットもありますが、持ち運びやすさが損なわれるなどのデメリットもあります。

全伸高はアイレベルを軸に、主たる移動手段や撮影スタイルなどを考慮した上で決めていくと良いでしょう。

三脚メーカーが公表している全伸高は大きく二種類あります。

  • 三脚の脚をすべて伸ばした状態の高さ
  • センターポールを最高地点まで引き上げた状態の高さ

安定性を考える場合、前者の高さが重要になってきますので頭の片隅に置いといていただければと思います。(センターポールを伸ばすと安定性が落ちるため、緊急用と考えておくのが妥当です)

格納高

通常はそこまで気にする必要はありませんが、以下の条件に当てはまる方は意識して選ぶ必要があります。

  • カメラバッグに格納して持ち運ぶ
  • 航空機の手荷物として三脚を持ち込む

格納高は三脚を収納した状態における高さのことをいい、一般的には三脚が大型化するに連れて格納高も長くなる傾向にあります。

格納高によってはカメラバッグに直接収納が難しくなるケースもあるため、意識しておくと良いでしょう。(その場合は別途ケースを用意して持ち運ぶのも一つの手です)

それ以上に気をつけていただきたいのが航空機の手荷物として持ち込む場合で、こちらは60cm以下がマストとなります。

カメラバッグへ直接収納される方や航空機の手荷物としての持ち込みを想定されている方は格納高についても意識しておきましょう。

花火写真の撮影におすすめの三脚

ここまで花火写真の撮影に適した三脚の選び方を解説してまいりましたが、どんな三脚が良いのかよく分からないとお嘆きの方もいらっしゃるかと思います。

そこで、これまでの使用実績を加味した上で、個人的におすすめな製品をいくつかピックアップしてみました。

僕自身が国内メーカーの三脚をあまり使ったことがないため、海外製のものが主体になっている点はご容赦ください。

GITZO GT2542

まず一つ目に紹介するのがGITZO GT2542です。

仕様はざっくり以下の通り。

素材 カーボン
重量(雲台なし) 1.68kg
雲台 別売り(ボール雲台付きセットもあり)
耐荷重 18kg
パイプ径 29mm
段数 4段
全伸高(雲台なし) 137.5cm(センターポール使用時165.5cm)
格納高 56cm

耐荷重18kg、パイプ径29mmのいわゆる中型三脚の一種で、フルサイズ一眼レフカメラ+大三元望遠ズームレンズ(70-200mm F2.8通し)ぐらいであれば十分に撮影をこなせます。

また、別売りのダブルプレートを使用すればフルサイズ一眼カメラを2台乗せての撮影も可能です。(レンズは標準ズームレンズ程度まで)

重量は雲台なしで約1.7kg(雲台込みで2.5kg程度)と、公共交通機関を利用しての持ち運びもそれほど苦にならないレベルかと思います。

僕自身も花火写真の撮影におけるメイン三脚として6年ほど使用していますが、これまで目立った故障もないあたり、剛性に優れていると考えていただいてよろしいかなと思います。

長期にわたって花火写真の撮影における相棒として活躍してくれることでしょう。

さらに安定感を得たい方は3型以上のマウンテニアやセンターポールが省略されたシステマチック、全伸高が欲しい方はロングタイプの製品を検討してみると良いでしょう。

格納高は56cmと航空機への持ち込みも可能な仕様になっていますが、数値的には結構ギリギリなので搭乗前に確認すると良いかもしれません。

GITZO GT2545T

主に公共交通機関を利用する方におすすめなのがGITZO GT2545Tです。

仕様はざっくり以下の通り。

素材 カーボン
重量(雲台なし) 1.335kg
雲台 別売り(ボール雲台付きセットもあり)
耐荷重 12kg
パイプ径 29mm
段数 4段
全伸高(雲台なし) 131cm(センターポール使用時154.5cm)
格納高 44.5cm

いわゆるトラベル三脚の一種で、航空機への持ち込みにも対応する収納性に優れた製品となっています。

トラベル三脚の中ではパイプ径と耐荷重が最強クラスで、数値だけ見れば先に紹介したGT2542(マウンテニア2型)に匹敵するほどです。

先に紹介したGT2542と同じ素材(Carbon eXact)が採用されている製品なので、長期にわたる相棒として活躍してくれると考えていただいてよろしいかと思います。

Manfrotto before GT

Manfrotto befree GTも公共交通機関での移動を主体とした方におすすめです。

仕様はざっくり以下の通り。

素材 カーボン
重量(雲台込み) 1.55kg
雲台 別売りもしくはボール雲台付きセット
耐荷重 12kg
パイプ径 25.3mm
段数 4段
全伸高(雲台込み) 138cm(センターポール使用時162cm)
格納高 43cm

先のGITZO GT2545Tと同じトラベル三脚の一種で、航空機への持ち込みにも対応する収納性に優れた製品となっています。

パイプ径が約25mmとやや細いですが、フルサイズ一眼レフカメラ+標準ズームレンズ程度の構成であれば十分に撮影をこなせます。

Manfrotto befree GTにはEasy Linkと呼ばれる便利な機構が備わっていて、別売りのアームを介してスマートフォンやGoProといった小型のビデオカメラを取り付けることも可能です。

こちらは花火写真の撮影に3年ほど使用して目立った故障もなく、実用性は十分にあると考えていただいて差し支えないと思います。

まとめ

本記事では花火写真の撮影におけるおすすめの三脚について紹介してまいりました。

要件をざっくりまとめると以下の通りとなります。

  • 素材:カーボン推奨
  • 雲台:3WAY推奨
  • 耐荷重:搭載機材の重量×2~3倍を目安
  • パイプ径:大型な機材ほどパイプ径を重視すべし
  • 段数:3段 or 4段
  • 全伸高:高いと有利なケース多し
  • 格納高:航空機内へ持ち込む場合には要注意

三脚選びは安定性と持ち運びやすさのトレードオフになるがゆえ、画一的な答えがないのがなかなかに悩ましいところではありますが、本記事が花火写真の撮影で使う三脚選びの助けになれば幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございますm(__)m

この記事を書いた人
おーわ
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花火系散歩屋
花火系散歩屋。関東地方を中心に年間20〜50回の花火を観覧・撮影しながら、各種メディア(SNS、ブログ)を通じて花火の様子をお届けしています。
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