写真撮影

花火写真を合成する(重ねる)方法と注意点

おーわ
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花火系散歩屋のおーわ(@mof_mof08)です。

花火写真を撮影において「狙っていたシーンで上手くシャッターが切れずに中途半端な状態で複数枚になってしまった」「露出オーバーを避けるために複数枚に分けて撮影した」なんてケースがあります。

そのような場合、複数の写真を重ねる(合成)ことで一枚の花火写真として成立させられる場合があります。

本記事では花火写真の合成方法と、利用する際の注意点を紹介いたします。

花火写真を合成する方法

複数枚の花火写真の合成は、比較明合成(もしくはスクリーン合成)と呼ばれる画像処理技術によって実現できます。

手順はざっくり以下の通り。

  1. Lightroomで基本調整を行う
  2. Photoshopへ対象の写真を読み込む
  3. レイヤーを集約する
  4. 合成処理を行う
  5. 合成処理を施した写真を保存する

本記事では以下の2枚の写真を用いて合成する方法を紹介していきます。

上の2枚は約22秒間で披露されたワイドスターマインでのワンシーンですが、シャッターを切るタイミングを誤ったため、2枚の写真に分かれてしまっています。

そこでこの中途半端になってしまった2枚の写真を合成し、写真を通じて伝えたかったワンシーンとしてまとめていきます。

今回は以下のイメージをゴールとして処理を施していきます。

  • 花火の色と形を整える
  • 会場の臨場感を添える
  • 2枚の写真を比較明合成する

完成形がこちらになります。

なお、本記事では基本調整にAdobe Photoshop Lightroom Classic 11.1(以下、Lightroom)、合成処理にはAdobe Photoshop 2022(以下Photoshop)を使用した方法を紹介いたします。

他のソフトウェアを使って基本調整および合成処理を施す場合は適宜読み替えてご活用いただければと思います。(該当する機能がない場合もあります)

Lightroomで基本調整を行う

まずはLightroomを使用し、合成対象の写真に対して基本的な調整を行います。

今回は「花火の色と形を整える」「会場の臨場感を添える」の二点を目標に調整を行なっていきます。

ざっくりとした調整内容は次の通り。

  • 全体の露光量をプラス補正
  • 花火の色を出すためにハイライトをマイナス補正
  • 歪み補正を適用
  • 観客席に段階フィルターを適用し、露光量とシャドーをプラス補正

各写真の調整前後の様子がこちら。

合成時の違和感を減らすため、対象の写真すべてで花火の明るさを適度に合わせるのがポイントです。

なお、トリミングについては合成処理後でも可能ですので、ここでは実施しません。(基本調整の段階で実施する場合はすべての写真で同じ範囲を切り抜きましょう)

※基本的なレタッチ術については以下の記事を合わせてご覧ください

>> 花火写真の撮り方講座〜第9章 完成度を高めるレタッチ術〜

Photoshopへ対象の写真を読み込む

基本的な調整を施した合成対象の写真をPhotoshopへ読み込んでいきます。

Lightroomから対象の写真を右クリック > [他のツールで編集] > [Adobe Photoshop ○○で編集]を選択します。(※○○にはバージョン名が入ります)

読み込み完了まで時間がかかる場合がありますので、とりあえずお茶でも飲みながら待ちましょう。

お使いのパソコンのメモリやディスクの容量が少ないとPhotoshopの起動に失敗することがあります。

>> Photoshop の必要システム構成(Adobe)

今回は2枚の写真を合成していきますが、時系列の古い順に以下の通りとなります。

  • _IMG0176.DNG
  • _IMG0177.DNG

合成対象の写真がすべてタブに表示されたら、次のステップへ進んでいきます。

レイヤーを集約する

合成対象の写真がすべて読み込まれたら、レイヤーを集約していきます。

今回は例として1枚目の写真(_IMG0176.DNG)の写真に2枚目の写真(_IMG0177.DNG)を集約していきます。

まずはワークスペース上のタブグループにレイヤーが表示されているかを確認します。

タブグループにレイヤーが表示されていない場合はキーボードの[F7]キーを押下するか、[ウィンドウ] > [レイヤー]を選択して表示してください。(Windows、Mac共通)

初期状態では背景レイヤーとして読み込まれていますが、この状態では編集できる項目が大きく制限されてしまうため画像レイヤーに変換します。

背景レイヤーの右側に表示されている[鍵マーク]をクリックし、画像レイヤーへ切り替えます。(切り替わると「レイヤー0」に表記が変わります)

画像レイヤーへ切り替えたら、2枚の写真を1つのワークスペースに集約します。

2枚目の写真(_IMG0177.DNG)のタブグループの[レイヤー]より集約対象のレイヤーを選択し、[三本線マーク] > [レイヤーを複製]を選択します。

レイヤーの複製が表示されたら、[保存先] > [ドキュメント]から1枚目の写真(_IMG0176.DNG)を選択します。

集約先に指定した1枚目の写真(_IMG0176.DNG)を選択し、2枚目の写真(_IMG0177.DNG)がレイヤー1として追加されているのたことを確認します。

合成対象の写真が複数枚ある場合は、すべてに対して同様の処理を行なってください。

合成処理を行う

さて、ここでいよいよ合成処理へと入っていきます。

花火写真における合成処理には比較明合成もしくはスクリーン合成のいずれかを用います。

比較明合成 複数枚の写真の明るい部分を抽出して合成。ほとんどの場合はこちらを使用する。
スクリーン合成 複数枚の写真の明るさをそのまま加算して合成。花火の周囲に目立った光源がある場合はこちらを使用する。

今回の例では花火の周囲に目立った光源はないので、比較明合成を使って合成処理を行なっていきます。

タブグループの[レイヤー]より、最下段に表示されたレイヤー(レイヤー0)以外をすべて選択し、レイヤーの描画モードを「比較(明)」に変更します。

ちょっと拍子抜けかもしれませんが、これにて合成処理は完了です。(科学の力ってすげーw)

スクリーン合成を行った場合は写真全体の明るさが増すため、別途後処理を行うことをオススメいたします。

合成処理を施した写真を保存する

最後に合成処理を施した写真を保存します。

[ファイル] > [保存]を選択すると、自動的にTIFF形式の画像として保存されます。

ショートカットキーを用いる場合は以下の通りです。

  • Windows:[Ctrl] + [S]
  • Mac:[Command] + [S]

保存処理に時間がかかる場合がありますので、とりあえずお茶でも飲みながらまったりした表情で待ちましょう。

保存が完了するとLightroomのライブラリーに表示されます。

必要に応じてLightroom上でトリミングなどの処理を行い、JPEG画像を書き出します。(Photoshopでもトリミングや書き出しが可能です)

以上で一連の作業は終了です。お疲れさまでした。

花火写真の合成に関する注意点

上記のように写真編集ソフトを使えば花火写真を合成することができますが、むやみやたらに合成するのはオススメできません

例えば写真の目的が「○○花火大会で打ち上がる花火の魅力を伝えたい」だった場合、派手に仕立てたいがために時系列を無視して合成をしてしまうと、伝えたいことが伝わらなくなってしまいます。

そのあたりを踏まえた上で、合成を使用するか否かを判断することをおすすめします。

まとめ

本記事では花火写真の合成(重ねる)方法と注意点について、解説してまいりました。

改めて手順をまとめると以下の通りとなります。

  1. Lightroomで基本調整を行う
  2. Photoshopへ対象の写真を読み込む
  3. レイヤーを集約する
  4. 合成処理を行う
  5. 合成処理を施した写真を保存する

合成処理は「狙っていたシーンが中途半端に欠けてしまった」「露出オーバーを避けたら複数枚になってしまった」際に有効な一方、むやみやたらに写真を重ねすぎると伝えたいことが伝わらなくなってしまう可能性もありますので、その点を留意した上で活用していただければと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございますm(__)m

この記事を書いた人
おーわ
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花火系散歩屋
花火系散歩屋。関東地方を中心に年間20〜50回の花火を観覧・撮影しながら、各種メディア(SNS、ブログ)を通じて花火の様子をお届けしています。
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